「昨日あんなに勉強したのに、もう忘れている……」
漢字の書き取りを何回も繰り返したり、理科や社会の教科書を何度も読み直したり。それでも、いざテストになると思い出せない。
そんな経験はありませんか?
実は、暗記には「何度も見て覚える」だけではなく、何も見ずに思い出そうとする練習が大切だとわかってきています。
今回は、認知心理学の研究をもとに、忙しい中学受験生でも取り入れやすい暗記のコツをご紹介します。
この記事でわかること!
- 何度も勉強しているのに、すぐ忘れてしまうのはなぜ?
- 勉強の仕方を変えるだけで、より記憶に残る?科学が教える暗記のコツ
- 今日から実践!効率よく覚える5ステップ
- いつ復習すればいい?忘れにくくするタイミングのコツ
01暗記しても忘れてしまうのはなぜ?
何度も勉強したのに忘れる…その理由とは?
「漢字を10回書いたのに、翌日には忘れてしまった……」
そんな経験はありませんか?
暗記というと、漢字を繰り返し書いたり、教科書を何度も読んだりすることに、多くの時間を使っていないでしょうか。
何度も同じ内容に触れると、だんだん見慣れてきて「もう覚えた」と感じやすくなります。その結果、「覚えたつもり」になり、思い出す練習が少なくなりがちです。

これは、必ずしも理解力や努力が足りないからではありません。勉強の中で、「覚える」ことに比べて「思い出す」練習が足りていないのかもしれません。
暗記では、次の3つを意識してみましょう。
- 01わかる意味や仕組みを理解する
- 02覚える知識を頭に入れる
- ここが大事!03思い出す何も見ずに、覚えたことを思い出してみる
ここで重要なのは、覚えたことを何も見ずに「思い出す」という工程を取り入れることが、記憶の定着には重要ということです。
すでに書ける漢字を何度も繰り返すより、書けない漢字を見つけて「思い出す練習」を増やすことが、効率のよい暗記につながります。
実際に、この「思い出す練習」が記憶の定着に役立つことは、研究でも示されています。
02「思い出す練習」が記憶の定着を助ける
覚えたことを何も見ずに思い出す練習は、心理学では「検索練習(Retrieval Practice)」と呼ばれています。
ここでいう「検索」とは、頭の中にある知識を探し、取り出すことです。例えば、教科書を閉じて問題に答えるのも、検索練習の一つです。
読むだけの復習では、答えを見て「知っている」と感じるところで終わりやすくなります。一方、思い出す復習では、何も見ずに答えを考え、出てこなければ確認して、もう一度挑戦します。
読むだけ読むだけの復習

教科書を何度も読む。答えを見ると「知っている」と感じる。
思い出す思い出す復習

本を閉じて問題に答える。出てこなければ確認し、もう一度挑戦する。
RoedigerとKarpickeの研究では、文章を学習した人たちを、「繰り返し読むグループ」と「何も見ずに内容を思い出すグループ」などに分けて比較しました。
学習直後のテストでは、繰り返し読んだグループの成績が上でした。しかし、2日後や1週間後には、思い出す練習をしたグループのほうが、多くの内容を覚えていました。
この結果は、覚えたことを長く記憶に残すには、「思い出す練習」が役立つことを示しています。
※すべての教材や学習条件で、同じ結果になることを示すものではありません。
大切なのは、テストなど思い出す機会を作ることは、「覚えたか確認するため」だけでなく、「覚えるため」にも使えるということです。
03暗記がうまくいく子の勉強法
暗記を効率よく進めるには、ただ何度も読んだり書いたりするだけでなく、覚えたことを思い出す練習を取り入れることが大切です。
例えば、漢字を覚えるときも、最初から完璧に覚えようとせず、ある程度覚えたら一度テストしてみる。間違えたところを確認し、もう一度思い出す。
大切なのは、覚えたことを「思い出す機会」を計画的に取り入れ、繰り返し練習することです。これが記憶の定着につながります。
偏りがち覚えることに偏った勉強
時間の使い方

わかる → 何度も書いて覚える → 勉強終了
覚えることに時間をかけすぎると、思い出す練習が少なくなりがちです。
おすすめ思い出す機会を意識した勉強
時間の使い方

わかる → 少し覚える → テストと確認を繰り返す
完璧でなくても、まずテスト。間違いを確認し、繰り返して定着へ。
※単純に「書くよりテストが上」ということではありません。目的に合わせて、理解・確認・思い出す練習を組み合わせるのがポイントです。
04今日からできる!漢字暗記の5ステップ
では、具体的にどのように勉強すればよいのでしょうか。
ここでは、10個の漢字を覚える場面を例に、家庭でも実践しやすい方法をご紹介します。
- STEP 1
まずは漢字を軽く確認する
10個の漢字の読み方や形を、ざっと確認しましょう。難しい漢字は、手本を見ながら少し書いてみてもOK。最初から完璧に覚える必要はありません。
- STEP 2
答えを隠して、最初のテスト
手本を隠して、10個の漢字を書けるか試します。思い出せない場合は、少し考えて次の問題へ。最初から100点を目指さず、まずは思い出そうとすることが大切です。
- STEP 3
間違えた漢字だけを覚え直す
答え合わせをしたら、間違えた漢字に絞って練習しましょう。正しい字形や読み方を確認し、手本を見ながら数回書いて覚え直します。
書けた漢字はひとまず置いて、書けなかった漢字に時間を使うのがポイントです。
- STEP 4
時間を空けて、もう一度テスト
ほかの教科や問題を挟んでから、10問すべてをもう一度テストしましょう。
間違えた漢字は再び覚え直し、全問正解できるまで「覚え直す → 少し時間を空ける → テストする」を繰り返しましょう。
- STEP 5
翌日以降も、何も見ずに答える
その日に全問正解できても、翌日や数日後にもう一度テストしましょう。
何度も正解できる漢字は復習の間隔を伸ばし、忘れていた漢字は早めに確認します。日を空けて思い出す機会をつくることが大切です。
大切なのは、何度も「思い出す機会」をつくること
最初は完璧に書けなくても大丈夫。書けなかった漢字を覚え直し、時間を空けてもう一度テストしましょう。
1回で完璧を目指さず、答えを確かめながら繰り返し思い出すことが、記憶の定着につながります。
05「いつ復習する?」も暗記の効率を左右する
覚えたことを忘れにくくするには、復習するタイミングも大切です。
同じ問題を一度に何度も繰り返すだけでなく、時間を空けて復習する「分散学習」が、長期的な記憶の定着に役立つことが研究で示されています。
復習スケジュールの一例
- 当日
- 翌日
- 3日後
- 1週間後
※あくまで取り入れやすい一例であり、すべての子に最適な間隔というわけではありません。
ポイントは、一度覚えたことも、時間を空けて繰り返し思い出す機会をつくること。
忘れてしまう問題は復習の間隔を短くし、簡単に答えられる問題は少しずつ間隔を伸ばしてみましょう。
一人ひとりの覚え具合に合わせて復習することが、効率のよい暗記につながります。
SUMMARYまとめ|暗記は「覚える」より「思い出す」を意識しよう
中学受験では、限られた時間でたくさんの知識を身につける必要があります。
だからこそ、ただ勉強時間を増やすのではなく、勉強方法を見直し、効率よく記憶を定着させる仕組みをつくることが大切です。
今日から意識したい3つのこと
- 1今の勉強を振り返り、「覚える」と「思い出す」のバランスを見直す
- 2「思い出す機会」を意識的に取り入れ、勉強の習慣にする
- 3覚え具合に合わせて、復習のタイミングと間隔を決める
大切なのは、「思い出す機会」を計画的につくり、無理なく続けられる学習習慣にすること。
まずは今日の漢字10問から、いつもの勉強に取り入れてみませんか?
参考文献
- Roediger & Karpicke(2006)「Test-Enhanced Learning」Psychological Science(DOI)
- Cepeda ほか(2006)「Distributed Practice in Verbal Recall Tasks」Psychological Bulletin(DOI)
※研究結果は一般的な傾向であり、個々のお子さまへの効果を保証するものではありません。
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LINEでFAQよくある質問
Q.思い出せないときは、答えを見てもいいですか?
少し考えても出てこなければ、答えを見て確認しましょう。正しい字形や意味を確かめたら答えを隠し、少し時間を空けてもう一度試します。答えを見ずに悩み続ける必要はありません。
Q.復習は必ず「翌日・3日後・1週間後」にするべきですか?
この日程は取り入れやすい一例で、全員に最適な間隔ではありません。忘れていた問題は早めに、何度も正解できる問題は少し間隔を伸ばして復習します。テストまでの日数や覚え具合に合わせて調整してください。
Q.漢字以外の、理科や社会にも使えますか?
理科・社会でも、解答を隠して用語を答える、教科書を閉じて理由を説明する、といった形で取り入れられます。意味や仕組みが分からないところは先に確認し、答え合わせで誤りを直しましょう。

